矯正治療に関するQ&A
矯正治療を受けられる方のほとんどが初めての治療となるため、
不安や疑問も多いのではないかと思われます。
それらを少しでも解消いただけるよう、
ここではくらしま矯正歯科に多く寄せられる矯正歯科治療に関するご質問にお答えしています。
治療を始めることについて
矯正治療は何歳まで受けられますか?
矯正に年齢制限はありません。
歯周病で歯がグラグラになっていない限り、何歳でも治療できます。ただし、悪い噛み合わせを何十年も放置していた場合、治療ができなくなるケースもありますので、できるだけ早い治療の開始をおすすめします。
ブリッジや差し歯があるのですが、矯正治療は受けられますか?
通常、問題なく矯正治療を行なえます。
ただし、天然歯(治療をしていない歯)と比べて接着剤がつきにくいため、治療途中で何度か矯正装置が外れてしまう可能性があります。外れたときには再度接着剤でつけ直せば、問題ありません。
なお、矯正治療後は歯が移動しますので、新しい歯並びや噛み合わせに合わせてブリッジや差し歯を作り直したほうが、審美的・機能的に優れた仕上がりになることがあります。
いま虫歯や親知らずがあります。一緒に矯正治療はできますか?
これは抜歯に関しても同様です。
矯正治療で抜歯が必要となる場合には、基本的には抜歯の影響がない親知らずや第一小臼歯が対象となりますが、奥歯に神経のない歯や重度の虫歯がある場合は、そちらを抜歯して親知らずを奥歯の代わりに使う場合もあります。実際にはお口の状態を確認してから、診断させていただきます。
当医院で虫歯治療を行なわない理由は、同じ歯科医でも専門性の違いがあるため、日々虫歯治療を行なっている歯科医にお願いするほうが患者さまにとってメリットが大きいと考えているからです。治療内容によって、その道のプロにお願いすることが、患者さまにとってより適切と思われます。内科医師が心臓外科手術を行なわないことと同じだとイメージしていただければ、わかりやすいかと思います。
治療費について
矯正治療費を分割して支払うことはできますか?
お支払いは、診断後2年間で無利息の分割払いが可能です。それぞれの方にあった料金のお支払いプランをお選びください。当医院ではクレジットカードもご利用いただけますので、ご相談ください。
治療費を詳しく見る矯正治療費用も医療費控除の対象になりますか?
発育段階にある子どもの矯正は、成長を阻害する可能性のある不正咬合を治すことが目的なので、基本的に医療費控除の対象となります。このように、身体的に矯正を必要として治療を受けられる場合は、成人でも医療費控除の対象になります。
しかし同じ矯正でも、見た目を美しくすることが目的の治療は、医療費控除の対象になりません。原則的には、予防と美容に関するものは認められないとされていますが、矯正治療を受けられる方の多くは、歯並びの悪さを原因とした咀しゃく障害や噛み合わせの問題を抱えています。
審美目的の改善か、咀しゃく障害の改善か、という判断は矯正歯科の担当医が行ないます。
矯正治療で医療費控除を受けるための条件を教えてください。
医療費控除は、1月1日~12月31日の1年間に支払った医療費が10万円を越えた場合の超過分に対して適用されます。ただし、年間所得が200万円未満の場合、所得×5%を基準として超過分に対して適用されます。
治療方法について
上の前歯の歯並びだけが気になるのですが、部分的な矯正はできますか?
はい。当医院では部分的な矯正治療も行なっています。
ただし、問題がある歯だけに装置をつけて動かすことはできません。全体の噛み合わせを考え、装置をつける箇所を判断する必要があります。矯正装置をつける範囲や治療期間には、個人差があることをご了承ください。
目立たない矯正装置はありますか?
歯の色に近いものや、透明なブラケットがあります。また歯の裏側に装置をつける方法もあります。
表側矯正と舌側矯正の違いは何ですか?
歯を動かすためのブラケットという装置を、歯の表側につけるか裏側につけるかの違いです。治療中の見た目をどの程度気にされるかによって、いずれかをお選びいただけます。どちらを使っても、治療期間や仕上がりに大きな違いはありませんが、費用面は舌側矯正のほうが高い場合が多くなります。
以前は、表側矯正に使うブラケットの材料が金属だったので、歯が見えたときに装置が目立ちました。そのため、矯正治療中の審美性を求められる方は、裏側に装置をつけるしかありませんでした。
しかし、ブラケットの開発は日々進化しており、現在では歯の色に近く、変色もしないセラミックブラケットが主流となりました。さらに、ブラケット同士をつなぐワイヤーも、シルバーではなく、白くコーティングされたホワイトワイヤーが登場したので、より審美性に優れた表側矯正が可能になっています。それでも、表側に装置がつくことにどうしても抵抗がある場合は、舌側矯正が有効です。
いずれの装置も、以前は、話しにくい、舌が痛い、食べ物が詰まる、歯磨きしにくいなどの問題がありましたが、現在は装置の進化にともない、ほとんど気にならないレベルになりました。治療期間や仕上がりは、表側と裏側の差ではなく、治療前の噛み合わせの状態に左右されると考えられますので、見た目と費用のご希望に合わせて表側か裏側かをお選びください。
矯正歯科治療では抜歯が必要なのですか?
治療上、必要があれば抜くことがあります。
顎と歯との大きさのバランスが悪い場合は、顎を横に広げて大きくし、歯を後ろに動かすことでスペースをつくります。このような処置ができれば、歯を抜く必要はありません。
しかし、スペースをつくれなかった場合や、前に出ている口元を改善したい方は、将来的な歯並びの安定性や審美性を考慮し、抜歯が必要な場合もあります。
「できる限り健康な歯を抜かないで治療したい」という想いをもっているのは、患者さまだけでなく矯正医も同様ですので、抜歯しないことを大前提として治療を行ないます。
矯正治療で外科手術が必要な場合があるのですか?
手術で顎の形を変える外科矯正を行なうことがあります。受け口の方の場合、歯並びはもちろん下顎の突出感が改善されます。手術を行なわない矯正治療だと、受け口は治せても、下顎の突出感は変わりません。
もし、最も気にされていることが下顎の突出感であり、それを治したいということであれば、手術が必要となります。「受け口で食べ物をしっかり噛めない」ということであれば、通常の矯正だけでもよいかもしれません。
治療中の生活・通院について
矯正の治療期間と通院間隔はどれくらいですか?
治療の難易度、歯の動き方の個人差にもよりますが、通常の治療方法で平均1年半~2年くらいが一般的な治療期間です。通院ペースは1ヵ月に1回が平均的です。
子どもの診療には必ず保護者が付き添わなくてはいけないですか?
当医院ではお子さまがひとりで治療を受けられた際に、保護者の方にお電話で診療内容をお伝えしています。
また、お支払いについてはトータルフィーシステム(総額制)を採用しており、月々の費用が発生しません。そのため、お子さまが多額の現金を持ち歩く必要がありません。学校帰りにそのままご来院いただくこともできます。
しばらく通院できなくても大丈夫ですか?
矯正治療には長い期間を要します。そのため、出産やけがのための入院、短期間の留学、受験などの理由により、しばらく通院できなくなってしまうこともあります。
そのような場合、治療の進行は遅れますが、矯正装置が壊れて痛い、ということが起こらない限り問題ありません。もしも矯正装置が壊れてしまった場合には、何らかの応急処置が必要になるかもしれないので、ご連絡ください。
矯正治療中に引っ越した場合は、どうすればいいですか?
当医院へ通院が不可能な地域へ引っ越される場合、引っ越し先の近隣の矯正歯科医院に継続治療の依頼をしています。
矯正治療中の痛みはどの程度ですか?
個人差はありますが、我慢できないほど激しく痛む、ということはありません。ブラケットにワイヤーを装着すると、歯を動かすため持続的に歯に力がかかります。歯が動くときには、顎骨の中の歯根周囲で炎症反応が生じます。それが原因となり、虫歯の痛みとは異なる歯が浮くような感じがしたり、物を噛むときに鈍い痛みを覚えたりすることがあります。
この痛みは数日続くことがありますが、1週間くらいで消失します。当医院では、治療初期にはきわめて弱い力で歯を動かしますので、炎症の度合いが少なく、あまり痛みを感じません。
矯正治療中の歯磨きは大変ですか?
歯に装置がついていない状態と比較すると、歯磨きは大変になります。また、口の中の細菌が増えやすくなり、虫歯や歯周病といったお口の中の病気になりやすくなります。歯磨きをしっかりして、虫歯などの病気を予防しましょう。
装置が壊れたり、失くしてしまったりした場合はどうすればいいですか?
矯正装置は、矯正治療期間内だけ効果を発揮します。そのため、破損や紛失をすると歯を動かすことができません。また、矯正装置は入れ歯などとは異なり、耐久面を意識した装置ではないので、治療中に壊れてしまう場合があることをご理解ください。
いずれにしても、装置を破損や紛失された場合は、できる限り早くご連絡ください。次回のご予約日の対応で問題ない場合と、至急の対応が必要な場合とがありますが、当医院は矯正歯科医が常勤していますので、いつでも急患を受け入れています。
まずは状態をお聞きしますので、必ずご連絡ください。
矯正装置をつけたら、食べ物は制限されますか?
ワイヤーが細く軟らかいので、治療を始めたばかりのころはキャラメル、ガム、グミなどは控えたほうが無難です。それらが引っ掛かり、ワイヤーが外れてしまうことがあります。
しかし、ある程度治療が進めば、基本的に食べ物の制限は少なくなります。
矯正装置をつけたままスポーツや楽器の演奏はできますか?
できますが、注意が必要な場合があります。まず、トランペットのように唇にマウスピースを押しつけるタイプの楽器は、表側に矯正装置がついていると痛みを感じる場合があります。また、格闘技などの激しいスポーツではけがに注意する必要があります。
このような場合、装置をガードする歯科用マウスピースを使って対応することができますので、治療前にご相談ください。
矯正歯科治療中に妊娠しても大丈夫ですか?
大丈夫です。つわりが激しい時期などは、長時間の診療や通院が難しいこともありますが、矯正治療自体が問題になることはありません。
しかし、レントゲン写真を撮ることは、できるだけ避けたほうが安心です。当医院ではデジタルレントゲン装置を導入しており、従来のレントゲン装置に比べてX線量が10分の1程度で済むため、通常は問題ありませんが、妊娠の可能性がある場合は必ずご申告ください。
治療後について
矯正治療後、歯並びが元に戻ることはありませんか?
すべての患者さまが、矯正装置を外したあとに保定を行なう必要があります。装置を外したあとの歯は不安定で動揺するので、きちんと保定を行なわないと、歯が元の位置へと動いてしまう場合があります。
通常、この保定には「リテーナー(保定装置)」という、後戻りを防止するための取り外し式の装置を使います。この装置をきちんと使うことも、矯正治療の重要なポイントです。歯の位置が安定してくれば、就寝時のみの装着でよくなります。
リテーナーを最低でも2~3年使い続けることで、正しい噛み合わせを長く維持できます。また、年に1回の定期健診を受けることも大切です。
リスク・副作用について
●矯正治療にともなう一般的なリスク・副作用
・機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
・最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
・治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生えそろっている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生えそろったあとに行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
・歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
・装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
・治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メインテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
・歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
・ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
・ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
・治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
・治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
・問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
・歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
・矯正装置を誤飲する可能性があります。
・装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
・装置を外したあと、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
・装置を外したあと、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
・顎の成長発育により、歯並びや噛み合わせが変化する可能性があります。
・治療後に、親知らずの影響で歯並びや噛み合わせが変化する可能性があります。
・加齢や歯周病などにより、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。
・矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。
・機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
・装置に慣れるまで発音しづらいなどの症状が出ることがあります。
・矯正装置を装着している期間は、適切に歯磨きができていないと、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。歯磨き指導をしますので、毎日きちんと歯を磨き、口腔内を清潔に保つようご協力をお願いします。
・歯磨き、エラスティック(顎間ゴム)の使用、装置の取り扱い、通院などを適切に行なっていただけない場合、治療の期間や結果が予定どおりにならないことがあります。
・成長期の患者さまの治療では、顎骨の成長を予測し、現段階において適切な治療を行ないますが、まれに予期できない顎の成長や変化によって治療法や治療期間が大きく変わることがあります。また、顎の変形が著しい場合には、矯正治療に外科的処置を併用することがあります。
・歯を移動させることにより、まれに歯根の先端がすり減って短くなる「歯根吸収」を起こすことがあります。しかし、適切な矯正力で歯を移動させることでセメント質(歯根表面を覆っている組織)が修復されるため、歯根吸収のリスクを軽減できます。
・歯の周囲の組織は、治療前の状態に戻ろうと「後戻り」する性質があるため、治療後も数ヵ月から1年に1回ほどの頻度で通院いただいて歯の状態を管理し、後戻りを防ぐ必要があります。
・機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
・前歯6本だけを治す方法なので、噛み合わせは改善できません。噛み合わせの改善を希望される方は、全顎の矯正治療が必要となります。
・症状によっては、でこぼこの前歯がきれいに並ぶスペースを確保するため、歯と歯の間を削る必要があります。しかし、エナメル質(歯の表面)を0.3~0.8mmほど削る程度なので、歯への支障はほとんどありません。
・前歯だけの治療となり動きが限られているので、症状によっては希望どおりに仕上がらないことがあります。
・公的健康保険対象となるのは、自立支援医療(育成医療・更生医療)指定医療機関または顎口腔機能診断施設の指定を受けた医療機関のみとなります。指定を受けていない医療機関での外科矯正は、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
・手術は全身麻酔のもとで行ないます。
・2~3週間程度の入院が必要となり、入院前には検査のために通院していただきます。
・手術後は部分的な麻痺やしびれが出たり、まれに鼻の変形が見られることがあります。
・骨を固定するために頬側からビスを入れてプレートを留める場合、数ミリの切開が必要となることがあります。ただし、ほとんどわからない程度の小さな傷です。
・手術後しばらくは口があまり開かないので、食生活に不都合を感じることがあります。
・手術後半年から1年くらいで、プレート除去手術のため再度1週間程度の入院が必要となることがあります。